うつ病/躁鬱(そううつ)病
うつ病とは・・・
私たちは日常でも、気分が沈んで何もやる気が起きない状態になることがあると思います。そんなとき「今日はうつだ」なんていいますよね。
これは抑うつ状態と言い、多くの場合は、短期間で回復し、また元気に頑張ろうと、思えるようになります。
しかし、いつまでたっても気持ちが沈んだまま回復せず、つらい状態がいつまでも続き、なおかつ日常生活にも支障をきたしてしまう状態なら、それは「うつ病」といえます。
うつ病は「心の風邪」と言われるほど一般的な心の病気で、わが国でも人口の5%に相当する600万人が苦しんでいるといわれ、誰でもかかる可能性のある病気です。
一般的にうつ病は、真面目、仕事熱心、几帳面、正直、正義感が強い、責任感・義務感が強い・・といった性格の人がなりやすいといわれ、意欲減退、憂うつ感、無気力・無関心・無感動、集中力・思考力・判断力の低下、強い疲労感、睡眠障害、食欲・性欲の低下、人を避けるなど生活全般にやる気が失われます。
うつ病もまた、「ストレス」が引き金になることが多く、日々受け続けている小さなストレスの積み重ねにあり、自分では気づかないうちにうつ病になっていたという場合があります。
小さなストレスでも、途切れることなく感じていると、脳も体もエネルギー切れのうつ状態が起こってしまうのです。
一般に女性は男性よりもうつ病になりやすいく、発病率は男性の約2倍と言われています。これには女性特有の月経周期に合わせて月経前後の精神的に不安定に連動するホルモンの変化が影響していることが知られています。
また、中年期の月経がなくなってくる時期にうつ状態になる「更年期うつ病」もホルモンの変化が関係しているそうです。
更年期障害の10%はうつ病であるといわれ、それほど更年期障害と更年期うつ病の症状が非常に似ています。
「女性の更年期」だけでなく、最近は「男性の更年期」も注目されるようになってきています。男性の場合は、これぐらい大丈夫とか、忙しいからという我慢する気持ちがあり、病状に気がつかない場合もあります。
気分が優れない、何処となく体調がすぐれない、眠れないなど「更年期障害かも・・・」と安易に更年期障害として片付けるのは危険です。常にうつ病の可能性を考慮する必要があります。
うつ病は決して不治の病ではありません。治療可能な病気です。
うつ病をはじめ、心の病の治療のためには、薬物療法の他、心身の負担を取り去るカウンセリングなどの心理療法が基本です。
そううつ(躁鬱)病とは・・・
読んで字のごとく、躁(ハイ状態)と、うつ(ロー状態)を繰り返す病気です。
簡単に言えば、ハイ状態の躁の時にエネルギーを使い果たし、どうにもならなく なって止まってしまう(うつ状態になる)という感じでしょうか。
さらにうつ状態になると、ハイ状態の時のことを思い出して自己嫌悪に陥り、怒りや憎しみ、悲しみは、すべて自分に向けられます。
問題は、少し元気になって、動けるようになったときです。そのわずかなエネルギーを、自分を傷つける(リストカットなど)方向に向けてしまい、ひどい時は自殺を図ったりします。
食欲もなくなり、不眠あるいは過眠になり、いやなことばかりが頭に浮かび、ひどい時は、ほとんど寝たきりになり、植物状態になることもあります。
うつ病と躁うつ病の違いは、ストレスなどが主な原因ではなく(きっかけにはなりますが)、脳内の神経伝達の異常によって引き起こされる病気です。ですから、うつ病と違って薬物治療が主になります。
では、家族はどうしたらいいのでしょうか?
うつ病も躁うつ病も、他の人からみると気分にムラがある程度に見えますが、本人は非常に苦しい思いをしています。
「頑張れ」「大丈夫?」などの言葉は逆効果です。
「頑張れ」と言われると、「こんなに頑張ってるのにまだ足りないのか」と自分を責め、「大丈夫?」と言われると、大丈夫なふりをしてよけい無理をしてしまう・・・叱咤激励はますます追いつめることになります。
病を理解し、話を良く聞き、共感し、休養を与えるなど、家族をはじめ身近な人達の協力が非常に大切です。
優しく包み込むような気持で接し、励まさずに、ただ見守ってあげて下さい。
「生きたくて仕方がないのに、
それを許されなかった人が、
この一年にもたくさんいたわけです。
強く「生きたい」と願うこともしてないのに、
生きることを許されてきたということ、
ほんとうに、ぜいたくなことのように思います。」
−−− 糸井重里「ほぼ日」より −−−