〜豊かさへの探求〜その1
急速な高度成長期
私たちシニアは戦後の日本の高度成長の時代を生きてきました。
幼いころは物がありませんでした。
おやつと言うと、蒸かしたお芋と餅米で作った自家製おかき。
幼稚園へは可愛い絵柄の通園バスなんてありません。
自衛隊のお下がりのトラックの荷台に簡易ベンチを取り付けたもので、地道をガタゴト。お尻が痛かったのを覚えています。
小学校に上がる時は3人兄弟の末っ子で始めてランドセルというものを買ってもらいました。『赤いランドセル』二人の兄は羨ましそうな目で見ていたっけ。
小学校時代の間に洗濯機を始めとして、冷蔵庫、白黒テレビ、そして自家用車。中学生になると東京オリンピックを機にカラーテレビまで・・・
都会と田舎では少しは差があると思いますが、田舎である我が家でも僅かな間にこれ程までに急成長した近代化。
鉄腕アトムの時代がほんとうに現実になるかも知れないと思っていました。
高度成長とその破綻
あの頃は夢がありました。
働けばお金が入ってくる。お金が入ってくれば、欲しい物が買え、豊かになる。そう皆が思っていました。
物があって当たり前の時代になって行ったのです。
そんな物質的な豊かさの中、1970年代に起こった石油ショック。
幼い子を背中におぶってトイレットペーパーを買う列に並びました。これは一体何?
この頃、小松左京の「日本沈没」がベストセラーになったのは、高度経済成長が一段落し、狂乱物価とも言われたインフレ、石油ショックなど、社会不安がその背景にあったのではと言われています。
当たり前のことが、当たり前でなくなった。
何か日本国全体が一挙に暗い穴の中に吸い込まれていくかのような不安感を持ったのは私だけではないと思います。
使い捨てが美徳とでも言うように利便性ばかりを追求していった近代日本。その見返りが自然破壊、環境汚染。ストレスや運動不足に伴う生活習慣病。
心も体も蝕まれて・・・私たちが求めていた豊かさとはなんだったのでしょう。