境界型人格障害
境界型人格障害とは・・・
境界型人格障害(Borderline Personality Disorder ボーダーライン・パーソナリティー・ディスオーダー)ボーダーラインととも言われ、または、人格障害とも言われています。
何故ボーダーラインと言われているのでしょうか?
境界とは一体、何と何との境界なのでしょうか?
以前は神経症と精神病の境界領域の症状を指して境界例と呼ばれてました。一言で言えば、「神経症と分裂病との境界」です。現在では境界性人格障害として一つの臨床単位となっています。
人はそれぞれ色んな性格を持っています。それはそれで個性なのですから当たり前ですねよ。でも、その個性が時に病的に偏りすぎて自分自身が困ったり、周囲が困ったりすることがあります。そうなるともう個性とは言えず、人格障害などと呼ばれる、性格の病になってしまいます。
ボーダーラインの人の特徴としては、自分が何者なのかよくわからない(アイデンティティおよび主体性の欠如)、自分が人から見捨てられるのではないかという強い不安や恐怖心(幼児退行)を持っています。
愛情独占欲求が過度に強く、常に誰かとつながっていたいと願う、嫌われたり捨てられるのではないかという恐怖心や猜疑心から攻撃的な行動をとります。
例えば、自分の味方を作るために男性は腕力を使い、女性は女の武器を使ったりすることもあり、非常に衝動的で感情の起伏が激しく、感情をコントロールする力が弱いため、対人関係がいつも不安定なのです。
普段上手く行っているときは理論的で、知能の高い人もいるのですが、ときに極端なわがままを言ったり、感情が激しく、爆発的な怒りを抑えることができず、暴力的だったり、自殺未遂(リストカット=手首自傷、アームカット=腕部自傷など)を繰り返したり、薬物やアルコールに依存することもあります。
現在、人口の約2パーセント(250万人)が境界例と言われています。
人格障害の分類としては、クラスターA,B,Cという風に大きく3つに分けることができます。(ちょこっと心理学より)
クラスターA(奇妙で風変わりな群)
妄想性人格障害、分裂病質人格障害、分裂病型人格障害
クラスターB(劇的で移り気で感情的な群)
演技性人格障害、境界性人格障害、反社会性人格障害、自己愛性人格障害
クラスターC(不安や心配が強い群)
回避性人格障害、依存性人格障害、強迫性人格障害
多くの境界型人格障害研究者達は、幼いときの母親との親子関係を指摘しています。
母親からの精神的な分離独立という、人間形成の大切な過程につまずいた結果とも言えますし、母親自身も境界例、あるいは潜在的な境界例があるとも考えられています。
このようにボーダーラインの症状として「大っ嫌い、行かないで」と言った極端な多面性を持っているため、対人関係の不安定さは医者との関係にも現れ、治療は大変困難なものです。
症状は、一般的に一進一退を繰り返し長期化しますが、加齢とともにその症状は治まるというのがこれまでの見解でした。
その理由としては、自然治癒力と衝動的エネルギーの枯渇によるところが大きいと言われています。しかし、最新では中高年の患者さんも増えているというデータもあります。
治療法と対処法は?
境界例の治療には、なるべく精神療法を行なっている医師か、医師と臨床心理士などが連携して治療を行なっているところで治療を受けた方がいいでしょう。
心理的治療(主にカウンセリング)としては、自我の再構築や思考の歪みを修正するための精神分析療法、認知療法などが行なわれますが、最近の研究では家族療法が治療成果を上げてきているようです。
本人は穏やかで暖かい愛情を求めています。治そう、良くなろうという意志さえあれば、必ず治るものです。
周囲の方は、励ましたり、叱ったりせず、ただ側に寄り添い、抱き締めてあげるのが一番の治療法なのです。かといって、近づきすぎず、離れすぎず、適度な距離が必要です。
『大地のように、水のように、患者さんに接し、地のごとく支え、水のごとく浮かべ、患者さんの激しい行動に耐えていると、いつしか患者さんは新しい出発点に立つかも知れない、そうはならないかもしれないが少なくとも害はない』
−−−バリント(イギリス精神科医)−−−