統合失調症(精神分裂)
統合失調症とは・・・
統合失調症・・・聞き慣れない言葉ですね。
近年(2002年)「分裂病」「精神分裂病」から「統合失調症」に名称が変更されました。
精神分裂病と聞くと、精神がバラバラに分裂してしまうような、病気に対してあまりいいイメージがありませんよね。患者さんの人格を否定するような言葉と思われ、誤解を招くのを防ぐ目的に改名されたと言われています。
統合失調症とは、「現実と非現実の区別が付かない状態」になることを言います。
例えば、自分が何者であるか、ここは何処で今どんな状態なのか、幻想や妄想が現れて日常生活が送れなくなる状態です。
統合失調症は、脳細胞の損傷などの外的要因や、身体疾患が原因で心の働きが異常をきたし、心が頑張りすぎて脳に無理な働きをさせた結果、発症する場合とがあります。
発症は突然のこともあれば、数日から数週間かけて発症することもあり、また何年かにわたって徐々に発症していくこともあります。また、環境的ストレスが引き金となって症状が現れ、悪化することもあります。
年齢に関係なく発病しますが、特に青年期、あるいは壮年期早期に始まることが多いそうです。日本を含めたどの国でも発生率は人口の0.7〜0.8%と言われ、1000人中7〜8人と想像以上に多い病気です。
最近、統合失調症に関係すると思われる遺伝子が、いくつか確認されたとの報告がありました。親族にその症状の人がいる場合の発病率はやや高くなるそうですが、遺伝病ではありません。
統合失調症の症状と治療法・・・
その症状は様々で、大きく「陽性症状」と「陰性症状」に分けられます。
「陽性症状」では、妄想(いじめられている、後をつけられている、だまされている、見張られているなど)や幻聴(自分の行動に関して意見を述べる声、互いに会話する声、あるいは批判的で口汚いことを言う声など)が現われ、思考障害(話題が次々に変わり、何を言いたいのかわからない意味不明な会話)など、それらに伴う奇妙な行動などがみられます。
「陰性症状」では、感情の欠如(笑う、泣くなど)、快感消失(楽しいと感じる能力が低下)社会性の低下(他者とのかかわりに興味を失うこと)など、全般的な意欲喪失がみられ、感情のコントロールや正しい意思決定ができなくなったり、対人関係を保つことが困難になります。
統合失調症は、脳の病気であると同時に心の病でもあるので、治療は大変難しく、再発を繰り返す場合も多くみられ、かつては「不治の病」とされていました。
しかし近年では、病気の時期や症状にもよりますが、薬物療法やその他の治療法で約4割は「治療できる病気」となってきています。
薬物療法の他、精神療法や、低下した社会生活能力を取り戻すために、生活療法なども行われます。
周囲はどう対処したらいいのでしょう
周囲の援助に一番大事なことは、統合失調症に対する知識と理解がなされているかどうかだと思います。
回復には、もちろん励ましと助けが必要ですが、反対に手助けしすぎると、回復へのチャンスを逃すことにもなりかねません。
励ましも、「頑張れ」と言うような無理な励ましは、本人に負担がかかり、過剰なストレスとなることがあります。
焦らず、無理せず、時間をかけて話し合い、ゆっくりと休養するように働きかけてあげてください。
からだのなかにいろいろなものを封じ込めて、頭だけで生きてきた。
からだが一生懸命に私に語ろうとしていたことにも気づきもせずに。
病気とは、きっと
「自分をもっと大切にしてほしい。
自分をもっと愛してあげてほしい。
この世に生まれたあなたの命の意味を考えてほしい」
という、からだの叫びなのだ。
−−− 「戻っておいで私の元気」 岡部明美 −−−