老後の最適な住まいとリフォーム

 人生80年。増々高齢化が進む日本。20年後には4人に1人が高齢者と予測され、その反面少子化の一途をたどり、老後は子供達に・・・という時代ではなくなってきました。

 子どもが巣立っていき夫婦だけの生活になったとき、あるいは夫婦の内どちらかが介護を必要になったとき、あなたは老後の住まいの計画を立てていますか?

 「まだまだ若い。老人扱いするな」そんな声が聞こえそうですが、加齢による衰えていく心身機能、足腰から始まり、目、耳などへ徐々に老化は進行していきます。老化現象は誰にも避けられません。
 それでも、私たちは一日でも長く住み慣れた自分の家に、住み続けたい。身体が不自由になっても、できる限り自分の力で日常生活を行いたいと望んでいます。

 それでは、高齢期を快適に過ごすための住まいづくりとはどんなものでしょうか。

 家庭内の事故で死亡する高齢者は、交通事故による高齢者の死亡数を上回り、年間その数は8000人近くにものぼります。
 なかでも、つまずきや階段からの転落、お風呂場での転倒による死亡が4割を超え、住宅内の段差が危険な障害物になっていることが分かります。たとえ、死に至らなくても、転倒による骨折などが原因で寝たきりになることが少なくありません。
 増改築の際には、これらを考慮に入れて、事故を未然に防ぎ、安心して暮せる住まい作りが必要です。


「高齢者住宅増改築への提案」

(1)中途半端な段差は一番危険です。床はバリアフリーにしましょう。
(2)将来車いすの生活になっても大丈夫なように、廊下、間口の幅を広く、 浴室やトイレは手すりを設置しましょう。
(3)床は、水に濡れても滑りにくく、車いすでの移動を考慮して、丈夫な床仕上げ材を使用しましょう。
(4) ドアは、開閉のしやすい引き戸にし、ドアのノブはレバーハンドル式に、水道の蛇口はレバー式にしましょう。
(5)寝室やトイレ・浴室など、行き来の多いところへ移動がしやすいような間取りにしましょう。
(6)窓を大きく開けて風通しよく、サンルームなどで太陽光を取り入れられるようにしましょう。

 男性と女性では理想の住宅は異なります。
(株)住環境研究所が行った「老後の住まい」のアンケート調査では、老後の理想の住宅 として、男性は平屋派43.3%(女性38.0%)に対して女性はマンション派 50.5%(男性31.0%)と言う結果が出ています。
 男性、女性共、足腰が弱ったときのことを考えて、上下階の移動がないワンフロアーの暮らしを求めているのは分かりますが、平屋派の男性は、「庭を楽しむ」「ゆったりくつろぐ」田舎暮らしに対して、マンション派の女性は「お買い物が便利」「交通が便利」など、都会での暮らしを望んでいるといったところでしょうか。
 子どもが巣立って行き、夫婦二人暮しになったとき、こじんまりした家に立て替えるか、それとも二世帯住宅で賑やかに暮すか、それによって計画は大きく変わります。
 あてに出来ない年金…60歳を過ぎての家の改築・修繕に伴う費用は大変なものです。
 高齢期に備えての住まいは、心身ともゆとりのあるときに早めに準備したいですね。
 それには、まず何が自分にとって価値ある高齢期の生き方かをいま一度考えたいものです。



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