人生脚本分析
あなたが今まで生きてきた人生は、どんなものだったでしょう。
上司に可愛がられ、部下に慕われ、やり甲斐のある仕事を全うされたでしょうか?
ご家族はあなたを愛し、あなたもご家族を愛し、健やかな生活をされているでしょうか?
E・バーンによると、人生脚本とは「無意識の人生計画」と定義し、「交流分析の究極の目標は、脚本の分析にある」と述べています。
人は社会によく適応して成功した人生を送るか、あるいは、心身のさまざまな障害に苦しむかの違いは、幼児期に親たちとの間で経験した、重要な意味を持つ交流のあり方に、どの程度支配された生き方をするかによって決まるというのです。
要するに、人は誰でもその人なりの人生の脚本をもっています。その脚本に書かれた筋書きに従って、そこに書かれた役割を自分の人生という舞台で演じているのです。
信じられないことですが、その脚本のもととなるものは、子どものとき、両親からどんな育てられ方をされたかによって決定されるものなのです。そしてその人自身は無意識のうちにこの脚本通りに人生を過ごしている訳です。
人生の脚本の根幹は、両親から子どもに向かって発せられる無言のメッセージ(禁止令)です。大部分は生きて行くうえでのしつけともいえますが、脚本形成に大きな影響をもたらします。
= 両親から受ける12の禁止令 =
両親からの禁止令 | 子どもの決断 | 結果 |
『〜するな』 | 子どもが自由にやろうとすることを理不尽に禁止。子どもは欲求を抑えてしまい、しないほうがいいと決断。 | 一人では何もできないような気がする。 |
『存在するな』 | 忙しいからかまっていられない親の態度を子どもが勝手に解釈したもので、子どもは親に気に入られるように生きようと決断。 | 存在を否定されないよう、課題を必死でやり遂げようとする。 |
『成長するな』 | まだ、あなたには早いと親が手を出す。子どもは親が喜ぶように手間をかけさせるよう決断。 | 一人では何もできず、他人を頼りにする。 |
『子どもであるな』 | 子どもらしいことをしたいときに止められ、子どもは年齢以上に背伸びしたり強がることを決断。 | 自由でのびのびとした表現ができない。 |
『成功するな』 | 「おまえは何をやってもダメだ」と親からいわれ続けて育つと、子どもは成功してはいけないと決断。 | よいところまでくると、最後にパニック状態になる。 |
『男(女)であるな』 | 「男の子が欲しかったのに、女の子だった」子どもは親の喜ぶ性になろうと決断。 | 女性のような男性、男性のような女性になりやすい。 |
『健康であるな』 | 健康でありなさいと言いながら、熱が出たときにとても心配して看病してくれた。子どもは、重い病気でいようと決断。 | 誰かに面倒をみてもらわないと生きて行けない。 |
『所属するな』 | 「みんなの仲間に入ってはいけない」子どもは周囲にとけ込めず、一人でも大丈夫と決断。 | 親しくなると離れて行ってしまう。 |
『重要であるな』 | 「子どもは口を出すな」といわれ続けると、自己主張ができないことで消極的になり、子どもは自分を捨てた方が楽と決断。 | 常に消極的な役割を選んでしまう。 |
『愛するな・信用するな』 | 「近づくな」親が忙しくてかまってもらえなかった。子どもは、大人になっても人を信頼できないと決断。 | 愛する気持ちを素直に表せない。 |
『考えるな』 | 「親のいうことが正しい」と否定され続けたので、子どもは難しいことは誰かが考えてくれる、自発的に物事を考えるのはよそうと決断。 | 難問が起こると混乱を起こす。 |
『感じるな』 | 「女の子は怒ってはいけない」「男の子は泣いてはいけない」感情を押さえ込むと、子どもは喜怒哀楽を表現してはいけないと決断。 | 何でも我慢する。 |
このような、両親からの無言のメッセージに比べて、明確に言葉でメッセージ(対抗禁止令:ドライバー)されるものがあります。
= 対抗禁止令:ドライバー =
(1)『完全であれ』(きちんとやりなさい)完全主義→自分はもちろん、他人にも完全を求める。評価が悪いときには焦り、気落ちする。
(2)『努力せよ』(一生懸命やりなさい)もっとしっかりやりなさい→結果は二の次。何事も努力さえしていればよい。
(3)『人(親や世間)を喜ばせなさい』他人を気遣うACの高い人間を育てる→いつも他人の承諾が必要。拒否されるのが怖い。
(4)『急ぎなさい』(さっさとやりなさい)→何かしていないと落ち着かない。慌てるため何事にも中途半端になりやすい。
(5)『強くあれ』(しっかりしなさい)→喜怒哀楽が出せず、何を考えているのか分からない。
以上の禁止令は、まだ合理的に物事を見ることのできない幼児が、自由でありのままのFCの欲求を犠牲にして、環境に適応するために知恵をしぼって出した生き方の結論、親の顔色を見て生きて行く知恵といえます。
この幼児期に、自分の決断に基づいて作られた脚本が自分を束縛するものであると気づいたら、より自由で創造的な生き方ができる脚本に書き換えることも可能なのです。
それにはまず、対抗禁止令(ドライバー)からあなたを解放してみましょう。
(1)『完全であれ』・・・常に完全でないといられないので、「適当でよい」「いい加減でよい」などの気持ちにもっていく。
(2)『努力せよ』・・・まだダメ、まだダメという声がかかっているので、「これでいい」「最後までこのままでいい」という捉えかたをしていく。
(3)『人(親や世間)を喜ばせなさい』・・・相手の言う通りになることを強要しているので、「自分の判断でやってよい」という許可を自分自身に与える。
(4)『急ぎなさい』(さっさとやりなさい)・・・今すぐ急いですることを指示されているので、「ゆっくり、ゆっくり」と自分自身に声をかけ、のんびり生活するようにする。
(5)『強くあれ』(しっかりしなさい)・・・感情の抑圧、冷静さを強調されているので、オープンになって感情を表してもいいという許可を与えること。
脚本から解放されるためには、かつての親からの禁止令を脱出して「今、ここ」を生きようという再決断をする必要があります。
もし新しい生き方を求めるなら、まず、自分が一体どのような人生を送りたいのかを理解することから始めなければなりません。
自分の人生脚本を知る事によって、もしそこから抜け出したいと考えるなら、今からでも遅くありません。もう一度その脚本を書き換えてみようではありませんか。
健やかな明日を生きるために・・・