さまざまな愛・・・


親子の愛

 人は、この世に生を受けると同時に、親子関係を通して、親に愛され、親を愛することによって、自分自身を愛すること、人を愛することを学びます。

 幼い頃に十分な愛情を受けて育った子供ならば、男の子は、お父さんを見て、いつかお父さんのような強くて逞しい男になるんだと思うし、女の子は、お母さんを見て、いつかお母さんのような優しくて素敵な女性になろうと思います。

 愛に満ち足りていれば、なにか辛いことや悲しいことがあれば親の元に帰れるという安心感があり、それによって、外の世界、子供にとっては未知の世界に出て行く勇気がわくのです。

 大人になっても親から愛されなかった、親を愛することができないと悩んでいる人は数多くいます。

 しかし、誰しも完璧な親などこの世には存在しませんし、子供は生まれてくる親を選べないのですから、愛情豊かな両親のもとに生まれてくるとも限りません。

 抱っこされたい、甘えたい、優しくして欲しい、怖いと思った時に安心させて欲しい、守って欲しいなど、子供は親に求めているのです。もしそれが叶えられなかったり、無視されたりすると、心の中に不満が残ります。

 親に愛されたい、親を愛したいと思いながらその思いが満たされないとき、傷ついた心の傷が深ければ深い程、言いようのない失望感と絶望感から、激しい憎しみの感情を抱くことがあります。

 極度の愛情不足や不安感、人間不信からくる怒り・・・。

 それらは、徐々に吐き出すことができければいいのですが、自分の中の怒りの感情や人間不信が存在することすら気付かないままでいることがあります。

 そのままにしておくと、心の奥深くでそれらの感情がどんどん増幅され、自分でコントロールできなくなっていくのです。

 犯罪に走ってしまう少年の場合、不安定な思春期に入り、抑えてきた感情がある時ささいな事をきっかけにして、爆発してしまいます。これが俗に言う「キレる」です。

 幼い頃からおとなしく「良い子」だった子でも、ある時突然キレ、犯罪行為にまで至ってしまうのは、そういう心のメカニズムからです。

 近年目立つようになってきた幼児虐待も、親からの愛を十分受けられなかった子供が親になり、子どもへの接し方、愛し方がわからずに虐待してしまうケースです。

 このように、幼い頃の親の愛情不足はその後の人間形成に大きく影響します。

 子供に注ぐ愛情は多過ぎることはありません。

 あなたの広い心であなたの子供をたくさんたくさん愛してあげてください。

 与えた愛の分だけ、必ずあなたも愛されることでしょう。


    子どもが変わる魔法の言葉
    「お母さんは、あなたが大好きよ」
    「あなたは、お母さんの宝ものよ」
    「どんなことがあっても、お母さんはあなたの味方よ」
                    −−− 山崎房一 教育者 −−−