悩みや苦しみを抱えているとき、私たちは、目の前にある選択肢のなかから、わざわざ最悪のものを選んでしまうことが多いようです。
悩みが大きければ大きいほど、苦しみが強ければ強いほど、それを解決するためには、簡単なものや、ありきたりなものではダメだと思ってしまうのでしょうか。
傍からみれば、もっと楽なやり方もありそうなのに、最も険しい道、大きな犠牲を払わなくてはならない辛い方法にしがみついてしまうのです。
ストレスがあると、見えるものも見えなくなってしまうということですね。
...たとえば、元気で長生きされている方に、長寿の秘訣を尋ねてみると、たいていは、「ほどほどに食べて、ゆっくり眠る」とか「いつも笑って、クヨクヨしない」などと、シンプルで、誰でも知っていているような答えが返ってきます。
普通の人ではとてもできそうもない、珍奇なことをしていたり、めったに手に入らないようなものを食べているから、元気で長生きをしているわけではないのですね。
また、成功者といわれる人たちも、その理由を聞かれると、「自分の仕事に一生懸命に取り組んだ結果だ」といったような、至って当然のことを語る方が多いです。
よくよく考えてみれば、長生きをしたり、成功するためには、確かに、当たり前のことを、当たり前にやり続けるというのがいちばんだということは理解できます。
人間の心と身体は不思議なもので、望むところさえわかっていれば、そこへの道標を、「楽しい」「快適だ」「ワクワクする」といった形で教えてくれるようです。
長生きでも成功でも、心と身体が心地よく感じることをやっていれば間違いないのです。
そして、それは、たいていが、当たり前で、簡単で、誰にでもできることなのです。
ところが、あせりを感じたり、ストレスに晒されていると、この当たり前のことが見えなくなってしまって、気がつくと、望むことから離れた道を歩いていたりします。
健康で、もっと楽しく生きて生きたいと思っているのに、暴飲暴食を繰り返したり、充分な睡眠をとらなかったり、働きすぎたり、あれこれ悩んだり...
成功したいと願ってがんばっていたのに、いつの間にか、どこかに自分を成功に導いてくれる特別な方法があるはずだと考えて、いくつもの勉強会に参加したり、高価な教材のコレクターになっていたりしています。
たまにならば、気分がよいときなどに、はめを外して食べ過ぎたり、飲みすぎたりすることは気にすることもないでしょう。
...でも、それがほとんど毎日となると、ちょっと問題です。
勉強会で学んだり、教材を買って自分を向上させようということは、すばらしいことですね。
...しかし、自分のやるべきこともせずに、ただ、成功のための夢のよう魔法を追い求めているのなら、これもちょっと困りますね。
「健康になりたい」
「楽しく生きたい」
「成功したい」
「お金持ちになりたい」
そう願うことは、健全なことです。
ところが、その思いが強すぎて、「絶対に〜でなくてはならない」となるとこれはストレスになってしまいます。
追い求めれば追い求めるほど、それがストレスになり、心と身体が心地よく感じるものを見失ってしまって、険しく辛い道を進もうとします。
望むものはどこかへ逃げていってしまうのです。
悩んだり、「苦しい」、「辛い」と感じるのは、私たちの本質が、「少し道を間違えているよ」ということを教えてくれているメッセージなのかも知れません。
だから、そんなときは、立ち止まって自分をリラックスさせてあげてください。
そして、自分を信頼して、自分が望む道を選んで歩き始めてください。
何も迷うことはありません。
どんなに当たり前のものだったとしても、夢を描いたら、自分がワクワクして、心地よく感じる道こそが、最高の道なのですから。