ろうそくは、火を灯された瞬間に、最も大きく輝きます。
そして、何時間も明るく燃え続けます。
でも、いつかは必ず消えてしまう運命です。
大きさや長さによって寿命は違いますが、結局は、燃え尽きてしまうときがくるのを避けることはできません。
そして、ろうそくが燃え尽きるときには、もう一度炎が大きく瞬くとも言われていますよね。
人間も、新しい環境やはじめてのことにチャレンジするときには、強い情熱が胸に燃えて、大きく輝きます。
ところが、いつしかその情熱の炎は朧になっていき、だんだんと輝きが失われていくものです。
燃え尽きてしまう頃には、何かに裏切られたようなあせりや、迷い、いらだちを感じることもあるでしょう。
求めていたはずのものが結局は手に入らず、人生で、自分だけが置き去りにされているように思えて、何かに必死に抵抗したくなるのです。
まるで、消えかけたろうそくのように...
そんなときには、こんな思いが胸に湧いてきます。
「私は、本当は何がしたかったんだろう」
「こんな仕事は、私に向いていない」
「毎日、同じことを繰り返していて、将来はどうなるんだ?」
それこそが、消えようとしているろうそくの最後の瞬きなのでしょう。
でも、心配することはありません。
ろうそくの炎は、いくらでも燃やし続けることができるのです。
たとえ、1本のろうそくでは燃え尽きても、新しいろうそくを用意すれば、炎を移せます。
新しいろうそくは、また大きく輝いて、燃え続けていくのです。
そう、ろうそくは、私たちの炎を燃やし続けるための道具で、決して私たち自身がろうそくではないのです。
ろうそくとは、私たちの「考え方」や「価値観」、「信じているもの」「ものの見方」なのだと考えることもできます。
今、燃えているろうそくは、今、私たちが、いろいろなことを学んだり、気づいたりするために必要だから燃えているのでしょう。
もし、燃え尽きたら、もはや私たちは、そのステージで充分に学ぶことができたということなのです。
それが、次のろうそくに火を移すときでもあります。
そんなふうに、炎を、次々に新しいろうそくに移しながら、私たちは、大きくなっていくのです。
...たとえ、私たちがそんなことに気づかなくても、もちろん宇宙は、ろうそくが燃え尽きてしまう前に、何とか、新しいろうそくに火を移すように、私たちをサポートしてくれます。
ただ、ときに私たちの目を覚ませるために、とても大きな苦痛が与えられることもあります。
そうでもしないと、私たちは、燃え尽きていく、慣れ親しんだろうそくを自分自身だと思い込んでしまい、そこにしがみついた手を離そうとしないようなのですから。
そうですよね。
どうせなら、もっと楽に楽しく、前に進んでいきたいものです。
「苦しみ」も、「迷い」も、「孤独感」も、「絶望」も...
本当は、決してあなたに与えられた苦難ではないのですね。
むしろ、よろこぶべきことなのでしょう。
だって、今までのろうそくが燃え尽きかけていて、もっと成長するために、新しいろうそくに火を移すときだよ、と教えてくれているのですから。
そう、今が、次のステージへ進んで、もっと大きな炎を輝かせるときなのですよ。