ニホンザルのお母さんは、赤ちゃんが生まれると、自分の胸にしっかりと抱きかかえて、暖かく守ってあげます。
赤ちゃんが少し大きくなると、胸から降ろし好きなように遊ばせます。
お母さん猿は必ず目の届くところで見守っていて、赤ちゃんが淋しがって泣き出すと、すぐに飛んできて胸に抱いてあげるのだそうです。
そして、だんだんとその距離を広げていき、ある程度大きくなると、もうどこへでも自由に行かせます。
もちろん、子猿が、まだすべてのことを自分の力でできないうちは、よっぽど困ったときには手助けをすることもあるようです。
でも、一人前になると完全にほったらかしで、助けを求めても簡単には手をさしのべないということです。
子猿から見れば、お母さん猿の行動は、とても冷たく感じるかも知れません。
今まで何でもしてくれたお母さんが、あるときから、全く助けてくれなくなってしまい、自分の力で解決しなくてはならなくなるのです。
だけど本当は、これはお母さん猿から子猿への、すばらしいプレゼントなのではないでしょうか。
だって子猿は、すべてを信頼してもらい、自分の力で好きなように生きていく自由を与えられたのですから。
もし、不幸や困難などに出会ったら、誰か、あるいは何かが、自分を傷つけようとしているように思えるかも知れません。
自分が被害者になったように感じて世界を呪ったり、自分のふがいなさに絶望してしまうこともあるでしょう。
そんなときには、もっとよく見てみましょうよ。
お母さん猿は、子猿をいじめているのではなくて、本当は、力と自由を与えていたのでしたよね。
私たちの人生でも、同じようなことが起こっているのかも知れません。
少し見方を変えてみると、問題にぶつかるということは、それだけ自分の力と自由が大きくなった証拠だと考えることもできます。
人生で、今の段階で必要なことを学び終わると、もうそこにいる必要はなくなります。
そして、次の段階へ進むための準備がはじまるのです。
青虫がサナギになり、蝶へ変わっていくように、そのときには、私たちを守っていた古い衣服を脱がなければなりません。
そんなふうに背中を押されることが、さまざまな問題という形に見えているのではないでしょうか。
自分の力を信頼できずに、そのメッセージを受け容れないでいると、衣服を無理矢理脱がされるような気がして、恐怖を感じてしまいます。
でも、本当の問題は、いつも我々が出会う出来事ではなくて、いつまでも古い自分の衣服にしがみついてしまうことなのです。
もちろん、私たちには、それを選ぶ自由もあります。
でも、せっかくの成長のチャンスがあるのに、古い世界にうずくまっていて、新しい世界で手に入れることができる宇宙の愛を逃がしてしまうのは、とてももったいないことですね。
新しい世界を楽しむためには、ただ古い衣服を脱いで、新しい衣服を着てみればいいだけなのです。
さあ、あなたの問題の本当のメッセージを受け取ってみましょう。
大丈夫。
自分の力を信頼さえすれば、必ず見えてくるはずですよ。
「失敗したり、物事が思うようにできなくて、自己不信で苦しんでいる」
...そうですね。
きっと『もっと自分を信頼しなさい』というメッセージなのでしょう。
「人に裏切られて深く傷ついた」
...うん、『もっと自分を大切にして、まわりの人を愛しなさい』ということを教えてくれているのでしょうね。
どうですか?
あなたを待っている、新しくてすばらしい世界が見えてきましたか。