考えてみてください。
1秒でも早く走ろう。
少しでも高く飛ぼう。
そんなことを思って努力している陸上選手ほど、何度も何度も壁にぶつかるでしょう。
はじめは、がんばればがんばるほど成果もあがります。
でも、いつかは必ずいくらがんばっても、なかなか記録が伸びない、これが自分の限界かと思えるときがきます。
その壁をうち破るためには、今までよりももっと努力するか、違った方向へ意識を向ける必要があります。
そして、壁を破ることができれば、さらに成長した自分になれるのです。
この壁は、
「記録などどうでもいい」
「結果なんて気にしないさ」
などと思って、努力も何もしない人には、けっして現れることはないものなのでしょう。
昔の人は、この世界は巨大な亀の背中に乗っているとか、4匹のゾウに支えられていると考えていました。
地球は平らで、海の終わりは滝のようになっていて海水が流れ落ちているし、太陽も月も星たちも、地球のまわりをまわっていたのです。
今考えると、明らかに間違っているのですが、当時の人たちにとっては、それは真実でした。
生活していくうえで、それで何の支障もなかったし、自分が見える世界を十分に説明できていたのです。
ところが、天体観測の技術が発達するにつれ、地球が球形で宇宙空間に浮かんでいたり、地球も他の惑星と同じように太陽のまわりを回っているということがわかってきました。
コペルニクスの例でもわかるように、その新しい真実を受け入れられるためには、多くの血が流され相当な苦しみを呼んでいたようです。
その血や苦しみは、真実を知ってしまった人たち。
そう、今までよりももっと世界が広がった人たちのものだったのです。
あることを真実だと思い込めば、この世界は、その真実に合うように見えてきます。
「人生とは苦しいものだ」
「成功するためには、必死でがんばらないといけない」
「正直者は損をする」
そう信じて見てみれば、それを証明する事実はいくらでもみつかります。
というより、その真実に合わないことは、目に留まらないようです。
ところが、ときには、自分が信じている真実では、対処できない状況に陥る場合があります。
人生が楽しくなってしまったり、がんばらないでも成功できたり、自分の損得だけを考えて行動した結果、失敗してしまったり...
それ以外にも、自分のなかの真実では、どうしても辻褄が合わなくなったりすることもあるのです。
これは、ある意味で、とても大きな苦しみだと言えます。
今まで自分が築きあげてきたものが間違っていたり、意味がないという事実を押しつけられているようなものなのですから。
でも、別な見方をすれば、自分の世界がさらに広がったと考えることもできます。
今まで信じていた真実は、確かにそれまで生きていた世界では役に立っていたけれど、今は、もっと大きな世界へ進んでいくチャンスなのです。
そう考えれば、苦しみや辛い出来事も、私たちがもっと大きく成長するために必要なチャンスだと思えてくるのではないでしょうか。
地球からだけ見ていれば、太陽や星は自分のまわりを回っています。
でも、もっと広い視野で見てみれば、それはけっして正しいことではないと
わかるでしょう。
それを受け入れるのは苦痛かも知れませんが、自分の世界を広げるチャンスなのです。
がんばって生きているのではなければ、壁などにぶつかることはないでしょう。
もっと成長しよう、もっと大きくなろう。
そんな気持ちがあるからこそ、壁にぶつかり、苦しみこともあるのです。
何?
今、壁にぶつかって苦しんでいるですって?
それは、よかった。
大きなチャンスに出会うことができて、本当におめでとう!