英語が苦手な受験生のことを考えてみてください。

なんとか英単語を暗記しようとして、「A」のところからはじめてみるのですが、どうも思うように進みません。
好きでもないことを、イヤイヤやっているので、すぐに気が散ってしまうのです。

そこで、いったん休憩を取って気分を変えてみることにしました。
机を離れて床に座ってやってみようか、それとも使っている単語帳を別なものにしてみようか、とあれこれ試してみます。

そして、単語の暗記を再開するのですが、そんなときはきっと休憩する前の続きからはじめるのではなく、また「A」からスタートしようとするのではないでしょうか。

これは無意識に、ストレス状態を避けようとする心理が働くからのようです。

英単語はいくら苦手でも、ひとつやふたつくらいは、楽に覚えることができるのですが、これが数を重ねていくうちにだんだんと難しくなっていきます。

そして、この先も英単語を覚えようとする限り、さらに大変な状態になっていくことが予想されますよね。

現在は、まだそう大きなストレスではないのですが、先に待ち受けている困難な状況から逃れようとして、ついもう一度はじめに戻ってやり直そうとするもののようです。
何の解決にもなるわけでもないのですが、少しでもそのストレスを避けよう、後回しにしようとしてしまうのです。

もちろんそんなことをいくら繰り返しても英語ができるようになるわけもありません。
必要なのは、自分が英語を好きになるか、もっと暗記することを楽しめるように工夫してみるか、とにかく自分を変えることですよね。

 
何か思うようにいかないことがあると、転職してみるか、引っ越すか、付き合う相手を変えてみれば、そこから逃げ出せると思っている人がいます。

なかなか思い通りにいかないのが人生なのですが、そんな人は、今が満足できないと感じると、この先にはもっと困難な状況になるに違いないと思えてきて、そこから逃げだそうとするのです。

すべてを、また一からやり直せば、うまく行くような気がするのです。

でも、いくら逃げようとしても、自分という人間から逃れることができるはずはないのです。

確かに環境を変えれば、しばらくはよくなったように思えるかも知れません。
ところが、結局は、自分が何をどう感じるか、どんなことにどう反応するか、何をして、何をしないことを選択するのかは変わっているわけではないのですよね。

 
何かに行き詰まったり困難を感じるときは、もちろん何かを変えるときなのでしょう。
そしてそれは、自分を取り巻く状況なのではなくて、自分の心構えや世界の受け取り方であることが多いようです。

まずは、今の環境の何が不満なのか、何が気に入らないのかを数えることをやめてみて、自分の人生で何が恵まれているのか、自分のどこがすばらしいのか、それを探して感謝してみることをはじめてみてはどうでしょうか。