好きなものは、近くに集まってきます。
それに気づいて楽しんだときに、本当に自分のものになるのです。


たとえば、カメラに興味がある人がいたとします。
 
興味があるといってもいろいろで、旅行などのときに、ただスナップ写真を撮れさえすればいいと思う人もいるでしょう。
そんな人は、シャッターを押すだけでいいカメラや使い捨てカメラを、持っているかも知れません。

もっとカメラが大好きで、写真の写り具合にこだわりがある人なら、もっと高性能のカメラを手に入れるのではないでしょうか。
それも、一眼レフのカメラが最高だと思っている人は一眼レフ、デジタルカメラがいいと考えている人はデジタルカメラを、持つことになるはずです。

また、古いカメラが好きな人は、そんなカメラをたくさんコレクションしていることもあります。
それも、ただ古いだけではなくて、自分の好みに合う、味のあるカメラを集めようとするでしょう。

普段から、雑誌を買ったり、カメラ屋さんを覗いたりして、そのための情報収拾をしたりします。
友人にも、そんな趣味のことを話すでしょうし、同じような趣味を持つ仲間も増えてきます。

そして、いつの間にか、いろいろなところから、自分が思っていたようなカメラが、手元に集まってくることになるのです。

もし、欲しいカメラの値段が高ければ、お小遣いを切りつめたり、収入をあげるために、一生懸命に仕事に励むかも知れません。
欲しいものは、何とかして手に入れようとしますよね。

いろいろな条件があって、どうしても欲しいカメラを手に入れることができなくても、カタログなどを集めたりして、心のなかにコレクションすることもできます。

そんな人たちの手元にあるカメラは、もちろん、その人が買うなりもらうなりしたから、そこにあるのですね。
その人が情報を集めたり、お金を貯めたりして、手に入れる準備をしていたから手に入ったのでしょう。

でも、本当は、その人のなかに「そんなカメラが好きだ」という気持ちが生まれたから、そんな信号に引きつけられて、カメラがやってきたのではないでしょうか。

どちらにせよ、「好きだ」と思うものは、近くに寄ってくるもののようです。
そして、そのなかその人を「好きだ」と思っているものだけが、その人の元にやってくるのです。


ただし、いくらやっとの思いで手に入れた、大好きなカメラでも、ただ置いているだけだったり、大事に仕舞い込んでいるとしたら、それを楽しむことはできません。

他のカメラが気になったり、どこかに、もっとステキなカメラがあるのではないかと思ったりしては、せっかく、その人が好きで、ここへ来たカメラも、悲しくなってしまうでしょう。

本当に、自分のところにやってきたカメラを楽しむのなら、手にとって感じてみるとか、一緒に出かけて写真を撮ってみる必要があります。
そうすれば、カメラを持っている人も充実した時間が過ごせますし、カメラもよろこぶのでしょうね。

いつかは、違うカメラを手に入れることになるかも知れません。
カメラも、いつかは、別のところに行くのかも知れません。

だから、今は、ただ一緒の時間を楽しみましょうよ。
...それが、本当の幸福というものなのでしょうから。


そう、あなたのまわりにも、一杯、あなたを幸福にしてくれるものがありますね。

よく見てください。
あなたが、「好きだ」と思ったから、そして、あなたが精一杯がんばって生きてきたから、そんなあなたを愛する幸福たちが集まっていますよ。

それは、今の仕事や子どもの寝息、友達との語らい、今のんびりと座ってくつろいでいること...など、いろいろなものに姿を変えているのです。

今は、その幸福たちに気づいて、ただ楽しみましょうよ。
やわらかくて温かいもので、自分を満たしてあげましょうよ。

それが、本当に幸福を手に入れたということなのですから。
あなたのことが大好きな幸福は、あなたといると、よろこんで、もっともっと大きくなっていくのですから。