ときどき、思い出すことがあります。


・・・高校へは、電車で通学していました。

乗っている時間は、十数分なのですが、通学時はラッシュでいつも満員でしたし、やたらと揺れるので、はじめのうちは苦労しました。
 
大きく揺れるたびに、足を踏ん張って倒れまいとするのですが、混んでいて身動きが取れない上に、他の人が体重をかけてくるように感じます。
それに抵抗して、まっすぐに立っているのがやっとで、目的の駅に着くと、毎日ヘトヘトに疲れてしまっています。

そんなとき、確か物理の時間だったと思いますが、先生が、「満員電車で疲れない秘訣を教えてやろう」と、説明してくださったことがあります。

それは、少しだけ腰を落としてどっしりと立ち、揺れにはけっして逆らわず、同じように揺れていればいい、というものでした。
その次の日から、満員電車で疲れることはなくなってしまいました。

がんばって流れに立ち向かっていくことが必要なときもありますが、ただ流れに身を任せることが大切なときもあるということでしょうか。


・・・これは、昔、誰かに聞いた話。

向かい風が吹くと、前に進むのに邪魔になります。
こちらに向かって吹いてくる風が、強ければ強いほど、進みにくくなってしまいます。

風に抵抗しようとすればするほど、疲れてしまうのです。
でも、凧のことを考えてみましょう。

凧は、風を受けて空を泳ぎます。
前に進むことはできませんが、吹く風が強ければ強いほど、それだけ高く舞い上がることができるのです。

向かい風は確かに厳しい。
前に進むのが困難に思えるときがあります。

ひょっとしたら、そんなときは、今いる場所から、もっと高いところへ上っていくときなのかも知れません。
こちらに向かって吹いてくる風は、それを教えてくれているのでしょうか。

今が苦しくてたまらないとき。
そんなときには、まずは今の苦しみや悩みから、何とか解放されるようにがんばることしか考えられません。

苦しみはいいものではありませんが、その状況を受け容れることができずに、ただ、そこから逃れることばかりを考えていたり、一生懸命に抵抗し続けていると、ただ疲れてしまうばかりです。

もう充分がんばったのだから、
必死で前に進もうと努力したのだから、

抵抗する力を抜いて、流れに身を任せてもいい頃なのですよ。
きっと、目の前の苦しみは、あなたが今よりもっと大きく成長するときがきたことを教えてくれているのでしょう。


これが最近、ときどき、思い出すことです。
そして、あなたにも伝えたいことなのです。